2005年 世界選手権フランス
大会

2005世界選手権 フランスレポート
五十嵐亮弥

8月17日パリから南に約300kmのレブルークスに到着、
イタリアのMINIPLANE社と合流してテント張りからスタート。
隣はリトアニアとイタリア、その隣がチェコという好条件に日本チームは一人テントを張る。
隣組は皆知り合いなので、ラッキー。さっそくMINIPLANEを受け取りテストフライトを始める。
私のMINIPLANEはディエゴのスペシャルガードが付いている、とても目立っていた。
エアロダイナミックにも効果有りそうだ

 
 

すでに数日前からフランス、スペイン、イギリス、チェコチームは数100kmを飛び回っている、
遅れを取った感のジャパンチームもMINIPLANEをセットアップして飛び始める。
確かに広い、360度地平線で全く山は見えない、この地形は数100km先も同じらしい。
感激しながら仮の地図で近場から回ってみると、日本の道路とは大違いで交差点から放射状
に伸びる道路が何本も出ている。
またパイロンとなりそうな丁字路がとても小さい、農道のようなところばかりだ。

 

選手登録などしている間に、チームリーダーブリーフィングが有ったりで、ものすごく忙しい、
そのブリーフィングの時間を確認するのがまず、チーム一人にとってはとてもハードだ。
いつもミーティング会場のタスクボードをチェックしていなければならない。

開会式が始まった、なぜかジャパンと呼ばれて、一人JAPANの看板を持って行進したら、とて
も受けてしまい大拍手となった。この時点から一人の日本チームは会場のヒーローになってし
まった。
次の日からジャパン、ジャパンと声をかけられて嬉しい思いをした、全ての人がサポーターにな
ってくれた。



TASK1 ピュアナビゲーション 21日の朝7時からスタート
1時間半でなるべく多くの自己申告したパイロンをターンして帰ってる競技。
この地域は強風がほとんどだと聞いて、ACTIONを持って来て良かったと思った、第一日目か
ら強風なのだ、おまけに、雨まで降ってくる。
結果は第2パイロンを探せずに時間が無くなって残りパイロンを回る事になる、
残ったパイロンの方が多かったので、得点は最悪。地の利の無さに愕然。

TASK2 離陸着陸精度 21日夕方6時からスタート
これは、普通のショートタスクなので、満点、しかしいつものセンターにボールが無く、本当のセ
ンターに降りてもボーナス得点は無かった、中央に降りたのに残念だった。結果1m直径の円
に入って満点は66人中17人もいた。

TASK3 ナビゲーション コンスタントスピード 
22日朝からの予定が雨のため昼からになる。
決められた5個のパイロンを自己申告した速度で通過していく競技、巾500mのコースを45km飛
ぶ。
その間そのコースからはみ出してはいけない、時間調整はS字旋回のみで360度旋回は禁止
されている。
コンスタントスピードなので風向きが変化しても自己申告の速度を守る事が得点となる。
ストップウォチと現在位置の確認でとても忙しい、同じコースをトライクも飛ぶのでラッシュアワ
ーの高速道路状態となる。
見ためはいっぱいパラがそろって飛んでいるので美しいが、飛んでる方としては見えないトンネ
ルの中を通っているみたいで、気分はあまり良くない。自分ではベストと思っていたがストップ
ウォッチの操作ミスなのか、あまり良い成績ではなかった。

TASK4 エコノミーナビゲーション ウイズボーナス 23日朝7時からスタート
今考えれば、単なる6リットルのガソリンで何個パイロンを回ってくるかの競技だった、しかしボ
ーナスの言葉に惑わされて3個パイロン取ったらランディング上空にもどり10%ボーナスをもらう
事にしてしまった、つぎのレグも同じで今度は20%にアップする、それで降りてしまったのだが。
強風なので思ったほど移動できずパイロン数が多い方がずっと高得点だった、タスクの理解が
不十分だった。
ちなみに、タスクのパイロンは前の日の夜10時に発表されるので、それから地図を作って作戦
を考えると寝るのは毎日午前2時ころになってしまった。それで6時には起きないと7時テイクオ
フに間に合わなくなる。
かなり寝不足の毎日を過ごす事になる。
 
TASK5 クローバーリーフスラローム 24日の朝7時からスタート
スペインのラモンとチェコのパベルが48秒で回って一位、私は練習不足で62秒で20位

TASK6 スピードトライアングル アンド ノーリターン 25日朝7時からスタート
6リットルのガソリンでまずトライアングルを高速で回る、その後で残ったガソリンを使ってフリー
ディスタンスに出るタスク。スタート直前にトライアングルを中止してさらに向かい風で進むパイ
ロンを増やされてしまった、きっと燃料を減らしてフリーディスタンスの距離を小さくしたかった
のだろうが。
 
強風なので低高度100mくらいを移動しないと進まないし、サーマルも強力で、私がパラで経験
した中では一番強いサーマルに出会った、先を進むPPGが突然コースを外れていく、それも花
火のように放射状に飛び散っていくのだ、何が起きたのか理解できずにその場に入ると確か
に真っ直ぐに飛べないのだ、強力なサーマルで弾かれてしまうのだ。 そんな中3人か4人が墜
落したらしい、幸い皆入院までは必要の無い怪我で済んだが、ひどかった。

やっと最後のパイロンを回ったと同時にセンタリングして1000mまで一気に上がった、景色が
変わって風も安定した、もう追い風で流せる競技に入って安心した。
周りには5人くらいセンタリングしていたので、それと一緒に移動を始める、高性能のマスター2
機が調子良く上げている、チェコチームだ。ポーランドのリアクションチームもいる。負けられな
いので少しエンジンを使って同じ高度まで上げて付いていく事とする、しばらくしたら不安にな
る。
 
完全にロストポジションになっている、さらに予定とは違う南風になってきた、これは本当にパリ
まで行ってしまうのかと思うほどセンタリングしていた、高速道路を2本と川を2本渡った。
航空地図を広げると2つ進入禁止区域が有る、なんだろうと思いながら進んで行くと、原発が2
つ見えてきた、これかあと一安心する、現在位置が確認できた、この間を通って行けば安心
だ。
もう誰も見えなくなった、皆降りてしまったのだろうか。
予報どうり寒気が入ってきたのか、弱いクラウドストリートを発見、ここで頑張れば良かったの
に、一人の寂しさでドルフィンフライトでどんどん進んでしまった、あっという間に上げは終わっ
てしまう。後から考えればあれはすばらしいチャンスだった。
最後に川を渡ったら降りそうなので、着陸地点を探すとまたサーマルに当たってまた進んでし
まう、とうとうお城の横に降りることになる。
 
だいたいレブルークスから130kmは飛んでいる。最後のパイロンで約3リットル残っていたので
かなりソアリングした事になる。しかし全然疲れない、腰が少し痛いがまだまだ飛べそうだっ
た。通りかかった親切な大工さんの家にお邪魔して、夕飯までご馳走になってピックアップの車
を待った。

3時間もドライブしてイタリアのディエゴのお兄さんが迎えに来てくれた、感激だった。
また3時間かけて帰るのだ、到着はもう次の日の明け方になっていた。 
結果は一位が167kmでフランスのマシュー、私は5位だった。
もう少し低速で流せばもっと飛べたのかもしれない、ちょっと先を急いだ感じだったのが反省
点。

TASK7 スローアンドファースト 26日朝7時からスタート
おなじみのタスクだが、皆があまり調子良くないのか、私が3位になってしまう。
ラッキー

TASK8 ナビゲーションウイズアンノンレグ 26日昼のスタート
写真を4枚もらって、飛びながらパイロンを探す、最初のパイロンから方位だけ指示された地
図でコース上の写真の場所を探す、そこから次の指示されている固定パイロンに直線で飛び、
そのパイロンからまた方位だけ指示されたコース上の写真の場所を探す。これの繰り返しで帰
ってくる。
 
同じ写真を皆が持っているので、団体行動すれば見落としが無く簡単に満点取れた。
少しでもコースからはみ出すと、減点されるので飛行中に作図しながら進む必要が有った。

TASK9 ピュアエコノミー 27日朝7時からスタート
これは2リットルのガソリンで何時間飛べるかの競技。私はいつもラモンタスクとラモンに声を
かける。彼はいつもニッコリする。
いつもラモンが勝つからなのだが、今回の王様ラモンは強風にたたられて、調子が出なかった
が、このタスクはすごかった。皆が3時間から4時間のフライトなのに一人5時間半も飛んでしま
ったのだ。
 
 
さすがは王様とランディングでは大きな拍手が起きていた。
このタスクはソアリングテクニックと特にローカルなサーマルコンディションを読む事とチームフ
ライトの必要性を多く感じた。そしてPAP TOP80の高性能が光っていた。
このタスク私は8位となり、もうすぐベスト10入りと見ていたが、なぜか最後のジャパニーズスラ
ロームはキャンセルになって、閉会式となってしまった。
 
 
1 FRA Mathieu ROUANET   
2 GBR Michel CARNET    
3 FRA Tristan GUILLABEAU 
4 FRA Ronan CHOLLOU   
5 CZE Frantisek SALAVA   
6 BEL Johan BOSSUYT    
7 FRA Laurent SALINAS   
8 FRA Nicolas SALINAS    
9 ESP Cesar MALDONADO  
10 CZE Pavel BREZINA    
11 GBR Dave HAIRS    
12 CZE Josef KACER   
13 JPN Ryoya IGARASHI  
14 CZE Pavel STEPAN    
15 ESP Nino MUELAS PENA  
16 ESP Dani MARTINEZ   
17 DEU Armin APPEL    
18 RUS Mikhail CHIKUROV   
19 CZE Vladimir PROCEK    
20 RUS Vladimir MAKURIN   
21 FRA Sylvain MOISSERON   
22 ESP Josep Maria SOLA   
23 ESP Ramon MORILLAS   
24 RUS Fedor POSTNOV    
25 BEL Stefaan MICHILS    
26 CAN David SIGIER    
27 POL Adam CEGIELKA   
28 BEL Vincent VAN POTTELSBERGHE   
29 RUS Alexander BOGDANOV    
30 POL Adam PASKA    
31 GBR Paul HALLATT   
32 ITA Giuseppe TOLLI   
33 BEL Thierry MOREAU   
34 POL Krzysztof ROMICKI  
35 BEL Christopher STRUBBE   
36 BEL Philippe HAULAIT    
37 CZE Jiri KOUDELA    
38 POL Jaroslaw BEKIER   
39 RUS Andrej PTASHNIK  
40 ITA Pasquale BIONDO    
41 AUT Bruno INNERHOFER  
42 GBR Noel HUMPHREYS   
43 ITA Sandro PASSERI   
44 GBR Jansy KELLY    
45 CHN Desong GAO    
46 CHN Mingji WANG   
47 POL Maciej ZACZENIUK   
48 MCO Estelle CHEVALIER 
49 ESP Carlos CANIZARES   
50 GBR Robert KELLY   
51 ITA Stefano BOLOGNINI  
52 ITA Mario PERFETTI    
53 SAU Ahmed AL ZAHRANI   
54 RUS Vladimir SHUKAYLO   
55 CHN Ke ZHANG  
  
結果は
一位 フランスのマシュー選手PAP1400TDL  
二位 イギリスのミシェル選手 自作4サイクル 
三位 フランスのトリスタン選手PAP1400TDL 
五十嵐は13位 MINIPLANE L でした。

反省点はやはりもう数日前に現地入りして、地形に慣れている事が必要でした、次回はこれら
を教訓にもう一歩進みたいと思います。
今回は多くの方々のサポートを頂いたので、とてもスムーズに競技に集中できたと思います、
ご協力頂いた皆さんに感謝いたします、ありがとうございました。




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