2012年9月

世界選手権2012 in Spainレポート     五十嵐亮弥
オフィシャルweb 

今回は開催日の一週間前にスペインのマドリッドから車で1時間の
マルガン飛行場に入り、トレーニングフライトを行った。
到着した日の夜は星空のすばらしさに感動した、今まで見たことが無いほど
多くの星が輝いていつも見ていたはずの星座が解らなくなるほど多く星が見え
た。きっと空気が乾燥していて周りに町の明かりが無いためだと思う。
明け方には大きな流れ星を見て車で仮眠した。

一週間前からマイクロライトの世界選手権も同じ会場で行われていて、
最後のタスクを見る事ができた。
ジャイロやトライク、三舵式の綺麗な飛行機がエンジンカットでターゲットに
入ってくる、さすがに迫力がある。
マイクロライトが自由に飛び回っているのを見て、ヨーロッパ人に日本のマイク
ロライトの現状を説明するのが大変だった。




開会式
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開会式と朝のテイクオフとボーリング
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マイクロの閉会式を見ながら、MINIPLANEを組み立てる。
イタリアからMINIPLANEを車で運んできてくれたディエゴとマッティオに感謝しな
がら、さっそくトレーニングフライトを始める。
イタリアからは3日間走って来たのだ。

事前に連絡をしていた競技委員長のニノムエラス氏にも色々と配慮していただ
きとても助かった。
まだ、マイクロライトもいっぱいいるので、注意してね、と言われるだけであっさ
り練習フライトが許可される。
さすがにスペインだ、だれも何の違和感も無い。
夕食は飛行場のレストランで食べるのだか、マイクロのパイロットから声がかか
って、日本人のパラモータは上手いとほめられてしまった。
きっと遠慮して離着陸していたので、そう見えたのだ。

そして、多くのスタッフの方が協力していて、すばらしい環境の飛行場だった。

練習フライト
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丁度スペインのPL1チャンピオンのアルホンソも来ていたので一緒に飛び回る
事となる。
いつもニコニコしている彼は誰からも好かれる存在で、世界選手権ではいつも
親切に話しかけてくれる友人だ。


飛び始めはいつもの事だが、スペインは広い、見渡す限り平らで乾燥してい
る。
日本では見られない景色なので、まず地図と実際の地形を見比べないと
大きなミスを犯すこととなる。迷子は怖い。

私も世界選手権は10年以上来ているが、やっと地図の見方が解ってきて戸惑
いが少なくなった。日本の感覚で川や池を探したら、絶対に失敗する。
まず、水が無いのだから。

そして、道。
日本の道路のように直線道路が無い、だいたい曲線道路で、信号も無くて、
細い道だ。
有るのはロータリー、それも四方八方から来た道が丸いロータリーで交差して
いる。
それに慣れないと、自分がどこから来てどこえ行くのか解らなくなる。
まあ、ヨーロッパで車を運転すると理解できるが、飛んで上から見たらもっと解
らなくなる。とにかく、地形に慣れるとはそこに住まないと身に付かないのかもし
れない。

練習練習
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しかし、今回は高度900mのマルガン飛行場が会場なので離着陸の感覚が異
なるのではと心配したが、ほとんど影響は無かった。これは助かった。

夕方8時ころから1時間くらいは風が無くなる、だんだん寒くなってきて、半袖で
はいられない温度となる。日中は40℃くらいで、夜は10℃を切る日もあったので
温度差はものすごい。
日中は強風となるので、朝の7時くらいから10時までには降りた方が良さそう
だ。

結局、最初の方の競技中にアルホンソがスピンに入って落ちて病院に行ってし
まった、
閉会式にはむち打ち症の首巻きをして帰ってきたのでほっとしたが、
日中は飛ぶには危険だ。
今回はエコノミータスクのテスト飛行中にも、強烈な潰れを経験したので、
10年前のスペインでのクラッシュを思い出してしまった。

朝のテイクオフ
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朝は7時くらいに日が昇りすばらしい景色になる、乾燥しているからか高度
300mくらいで逆転層を突き抜けて遠くまで見渡せて、
地図との見比べにとても良い。


まずは、開会式
華麗なパラモーターのアクロ飛行、タンブリング、タンブリングで競技が始まる。


ナビゲーション&エコノミー
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ピュアナビゲション競技からスタート
多くのターンポイントと距離を競う。
しかし、最初からファイナルターンポイントのクローズ時刻に5分遅れる。
強風で欲張った飛行距離を狙ったために、5分の遅刻でほとんど点数が無くな
ってしまう。
きっとこのタスクでアルホンソはスピンに入って落ちたようだ。
私は飛行中だったので、彼が病院に行った事は気づかなかったが、
確かに、すごい強風だった、10m/sec以上は吹いていたし、サーマルも強かっ
た。



プレシッションナビゲーション
予定飛行速度を申告してスタートする、途中シークレットのチェックポイントが有
り、正確に指示されたコースを飛行する、少しの速度とコースの誤差で減点とな
る。
これも、まあまあの得点。



ナビゲーションアンノンレグ
これは、飛行方向だけ示されてスタートする。
途中のターンポイントは写真で指示されるので、7枚の写真と地形を比べながら
ターンポイントを探す競技。これもシークレットポイントが隠されているので、正
確なコース取りが必要。
途中で写真の場所が解らなければ、迷子になってしまう。

エイトスラローム
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ボーリングタスク
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プレシッションタスク
8スラロームとボーリングビン倒しだ。
満点取ったのに、夕方の時間切れで不成立となる。
とっても悔しい。満点取ったのはそんなに多くなかったのに、チームリーダーミ
ーティングで次の日続けるかもめたあげく、キャンセルされた。

次の日はこのタスクのやり直しで、また満点でまあまあの得点となるが安定し
た風だったのでいっぱい満点が出る。またくやしい。


クローバーリーフスラローム
私はあまり得意では無いので、普通のタイムとなる。
しかし、アレックスは34.38秒の世界記録を記録した。
やはり練習が必要だと痛感する。

クローバーリーフとボーリング
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ピュアエコノミー
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エコノミータスク
1.5kgのガソリンで長時間飛ぶ競技は、強烈なサーマルで上がる時はスゴイ
が、下がる時もすごい。結局普通のフライトで1時間くらいの飛行となる。
いつものとうりラモンが3時間飛んでしまう。

ピュアエコノミー
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1kgのガソリンで約3kmの三角コースを何周できるかの競技。
結局6周で着陸場に帰る。場外着陸すると20%ペナルティーなので手堅く飛行し
た。

エコノミートライアングル
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2kgのガソリンでなるべく大きなトライアングルコースを飛行してその面積が大き
いほど得点になる競技。しかし、最初のレグは最大スピード得点が付く。
強風だったので、風を使って飛行コースを伸ばすが、途中で気が変わってコー
スを変更してしまう。結局小さなトライアングルとなって、そこそこの得点となる。

結果23位だった。

閉会式




優勝したパスカルバレリー HADRONパイロット

オフィシャルのwebは


若いアクロパイロット16歳

今回の反省点

スピードナビゲーションでタイムアウト5分した減点、飛行計画が不十分だった。

プランニングタイムに慣れていなかったので、計画の重要性が理解できていな
かった。

途中で飛行コースを変更しなければならなかった。

今回からターンポイントは飛行の30分から45分前に発表される方式となった。
つまり、テイクオフ前に一仕事増えてしまったのだ、これには戸惑った。

飛行中に計画を変更したり、タスクの得点配分の理解が不十分だった。
全てのタスクに慣れるために、各タスクのシュミレーションが必要だった。
スペイン選手権に出ていれば、内容が把握できていたのに残念だ。

エコノミータスクでよい得点を得られなかった、キャブ設定が不十分だった。
デロルトキャブの場合はエンジンがオーバーヒートする寸前まで流量を絞るが、
今回はまだ余裕がありすぎたと思う。コンペ用の特別なセッティングが必要だっ
た。
6500rpmから7600rpmくらいの間をソアリングには使った。
また、エコノミータスクの種類によって設定を使い分けなければならないと思う。


グライダーがHADRON20では小さすぎて、私の得意とするエコノミーを生かせな
かった。
HADRON22の方が良かったかも、ソアリングできるグライダーが有利だったか。
今回はハードなコンデションでのソアリングや、スピードナビゲーションが行われ
たがHADRONの使い方も説明してもらって、自信がついた。
HADRONの特性を生かした飛行が必要であった。



スラロームのタイムが遅すぎた、トレーニングが必要。 30秒だいが出せないと
勝てない。
つまり各タスクでトップの記録が狙えなければ、史実上の総合のトップは取れな
い。

その他は地図の見方や地形の見方などは、かなりできた。
事前にスペインに来た事で色々と協力してもらったので、すばらしい体験をさせ
ていただいた。




良かった点は、事前にスペイン入りして時間を使っただけ飛行経験できてリラッ
クスして飛べた。空域にも慣れてとても良かった。
多くの友人ができた。

グライダーの使い方も理解できた。
小さいグライダーでの飛行の抵抗の大きさが目立つ、プロペラスドラッグキャン
セラーが必要か。

ショートスパンはスラロームには良いが、ソアリングや燃費に不利。
もっと空気抵抗を減らした飛行が必要だと感じた。

今回の世界選手権ではDUDEKのグライダーが60%以上の選手が使っていた。
さらにHADRONの多かったのには驚いた、やはり選手は敏感だった。




世界選手権ビデオ
2012 Marugan 

優勝 PF1 - Pascal VALLEE - Hadron 22
優勝 PL1 - Petr MATOUEK - Hadron 22
優勝 PL2 - RUS Kirill EKIMOV / Pavel RUSINOV - Nucleon Cabrio 42



PF1 (foot launch)
優勝 FRA Pascal VALLEE - ADVENTURE Simo 160, DUDEK Hadron 22
3位 FRA David MUZELLEC - ADVENTURE Simo 160, DUDEK Hadron
4位 FRA Julien BARBIER - MINIPLANE Top80, DUDEK Plasma
5位 GER Joerg MAASS - NIRVANA Instinct Simo 200, DUDEK Hadron
7位 POL Grzegorz KRZY?ANOWSKI - MINIPLANE Top80 Injection, DUDEK Hadron
8位 GBR Michel CARNET - NIRVANA Instinct Simo 200, DUDEK Nucleon WRC


PL1 (trikes)
優勝 CZE Petr MATOUEK - NIRVANA Instinct Simo 200, DUDEK Hadron
2位 CZE Miss Karin STACHOVA - NIRVANA Instinct Simo 200, DUDEK Nucleon
4位 CZE Michael NADAY - NIRVANA Instinct Simo 200, DUDEK Hadron
5位 POL Marcin KRAKOWIAK - PARAELEMENT Black Devil, DUDEK Nucleon
6位 POL Krzysztof ROMICKI- PARAELEMENT Black Devil, DUDEK Nucleon
9位 FRA Julian GANAYE - MACFLY Polini 200, DUDEK Hadron
10位 CZE Gabriel TOMAN - NIRVANA Instinct Simo 200, DUDEK Hadron


上位60%のPF1 と 70%のPL1 にDUDEKのグライダーが入賞した。

総数では47機のDUDEKがエントリーしていた。

The only thing we can do is to repeat "THANK YOU" once again!
by DUDEK


山形空港デモフライト
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協力ありがとうございました。
栗駒フライトクラブ
庄内スカイスポーツクラブ





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